仕事を辞めて駐在員妻になることのキャリアリスク(長文)

私がこのブログを始めた理由は、グローバル化が進めば進むほど、その一方で、
パートナーが海外に転勤になりました、え、じゃあ私の仕事はどうすればいいの?
と悩む人が増えるのでは、と思ったからです。
そんな仲間とも言える人たちに、少しでも役に立つ何かを提供できたら、
と思って、ブログを書き始めました。

私自身は、夫に転勤の話が出てから、ついて行く行かないを年単位で悩み、
そのために国内で転職もし、最終的に、家族で暮らす、ということを
優先するために、引越しをしました。

その時、思っていたのは、
仕事は探せば何か見つかるだろう、
今は私が彼に合わせるべき時だろう、
多少の理不尽さを享受することこそ結婚というものだろう、
というようなことでした。

ただ、私がそんな決断をしたのは、
「仕事を辞めてついて行く」ということに、
キャリアとしてどんなリスクがあるのか、よくわかっていなかったから、
だったように思います。
言ってしまえば、ただのえいや、でした。

勢いや、プランドハプンスタンスは否定しませんが、
もし、もう少し事前に情報収集ができていれば、
少し違う見方や、判断ができたのでは、と思うことが多々あったのも事実です。

配偶者が転勤になって、今まさに仕事を辞めようか悩んでいる、
という、非常にニッチな層向けの話ですが、
「仕事を辞めて駐在員妻になることのキャリアリスク」について、今回はまとめたいと思います。


1)再就職を考えているのに、無職になるということのリスク
・駐在期間数年のブランクはなんとかなるはず、というのは極めて危険。
転職市場には仕事を継続してきた人がわんさかおり、
その人たちと帰国後にポジションを取り合うことになるのです。

・帰国時には年齢が上がっている。
年齢相応のスキル、経験を身に付ける機会がないまま、ただ年齢だけが上がった状態で、
帰国後の転職市場で戦うのは不利です。

・いっそ思い切ってこれまでのキャリアを捨てて新しいことに挑戦しよう、というのは無謀。
巷には、駐在員妻になって、趣味を極め、もしくは大学院に行き、
第二の人生をスタートさせたような方のストーリーが溢れています。
ただ、本当にその趣味を今後の仕事にしていきたいのか、
その仕事で、これまでの生活レベルを維持できるのか、維持できなくなってもいいのか、
考える必要はあると思います。

・語学力を磨こうという発想は悪くないけれど、語学力だけでは評価されない。
ここで言う語学力は英語を指します。
英語ができれば仕事の幅は広がりますが、英語の前に、まず職務能力です。
なお、ローカル言語は、日常会話レベルでは帰国時の転職ではほぼ役に立ちません。

*ただし、これらは、帰国後にこれまでのポジションやタイトル、
年収を維持したい、と思っている場合の話です。


2)現地採用で働くことのリスク
・これまでと同じ業界、職種、待遇の仕事を得るのは至難の技。
そもそも求人数が日本での転職に比べて桁違いに下がります。
英語できない、現地語できない、マネジメント経験ない、営業は避けたい、厚待遇希望、
という場合、現地採用で仕事を探すのは困難を極めます。
また、私のように、「インドネシアではそもそも外国人は人事職にはつけない」
という法律によって、やりたい仕事ができない、ということもあり得ます。

・希望の仕事に就けない以上、希望のキャリアパスは海外では描けない。
上述の通り、希望通りの仕事を見つけることが難しいゆえに、
現地採用でキャリアアップ、スキルアップを計るのは難しくなります。

・給与が下がることによるモチベーションの低下。
現地採用は現地給与となるので、場合によっては、
日本での給与の半分以下!ということもよくあります。
私の仕事の能力が落ちたわけではないのに、なぜ給与がこんなに少ないんだろう、
日本にいるときよりむしろ苦労しているのに、という思いから、
給与の低さはダイレクトにモチベーションダウンにつながることがあります。

・仕事のレベルが下がる(ような気がしてしまう)。
日本では当たり前の商慣習、仕事観で働くことができなくなります。
特にアジアには、独特のスピードがあり、なぜか同じ日本人ですら、
日本人らしい速さで仕事を進められないことがあります。
それが「仕事のレベルが下がった感じ」を生み出すのです。

・それゆえに、身につくスキルや経験が特殊性の高いものになる。
異文化理解は人生の幅を広げるためには良い経験になりますが、
現地採用で培う現地で評価されるスキルや能力は、あまりポータブルなものではないため、
帰国後に「雇用される能力」は高まりにくいです。

・ローカルビジネスの苦労や凄さを正確に評価できる採用担当者がそもそも日本にいない。
日本のマーケットで採用をしている採用担当にとって、
現地採用でやってきた○○職は、そもそもそれがどんなものなのか理解ができないため、
経験の良し悪し自体、測定不可能なのです。
結果、現地採用での仕事経験はほぼ評価対象にならず、
面接では、日本にいた時の仕事のことばかり聞かれる、ということが起こります。


3)家族にまつわるリスク
・子供がいる場合、日本のように安心安全な保育環境を整えることが難しい。
保育園というセーフティネットを失った状態で、海外で仕事をすることは、
精神衛生上あまり良いものではありませんでした。
もちろん、妥協点は見つけられるのですが。
また、仕事時間はそこそこ長い一方で、幼稚園が終わるのは早く、
夏休み、冬休み等、長期休暇が頻繁に発生するのも親を悩ませます。

・駐在員である家族との身分差。
日本の会社から手厚いサポートとミッションを与えられて現地で働く配偶者と、
そもそもまっさらになった状態で、現地採用で働く私、という構図が家庭内に発生します。
与えられた役割を持っている配偶者に対して、一からその役割を見つけに行かないと仕事がない、
という状況が、頭でわかっていても、理不尽感につながります。

・駐在員妻という立場を十分に謳歌できず中途半端感が付きまとう。
仕事をする以上、いわゆる優雅な駐妻生活とは無縁の生活を送ることになります。
いやいや毎日アフタヌーンティーなんてそもそも行けないし、と思ってはいても、
せっかく海外生活ができるのに、隣のあの人のように、駐妻生活を楽しまなくていいのかしら、
現地で楽しいこともたくさんありそうなのに、と、割り切れない思いが発生することもあります。


以上、3つのカテゴリで海外駐在の帯同のための退職、現地採用リスクについてまとめてみました。

今、海外に行くべきか悩んでいる方の中には、とはいえ単身赴任ワンオペ育児もきつすぎる…
という方もいらっしゃるかと思います。
我が家は家事育児完全折半だったので、片腕を失った状態での育児と仕事は、
本当に本当に…∞ きつくって、そこから逃げたいがゆえに、もう夫のとこに行ってしまいたい、、
と思う気持ちもよくよくわかります。

ただ、これまでやってきた仕事を一度やめて、数年後にまた戻る、
というのは実は簡単なことではないのではないか、と個人的にも周りを見ていても思います。
えいや、という決断が間違いだったかもしれない、と気付いた時、
リカバリには大きな労力を要しますし、家族を振り回すことにもなりかねません。

すごくネガティブなトーンの記事になってしまいましたが、
今、まさに悩んでいる人にとって、
今の私だからこそ書ける生々しい現地での感覚をお伝えしたくて、
思い切ってここまで書いてみました。

駐在員妻で現地採用で働いていらっしゃる方も、もちろん何人もいらっしゃいます。
そういう方々は、現地で働くことのメリットとデメリット両方を理解し、
その上で覚悟を決めて働いていらっしゃるので、
今、ついて行くべきかどうか、で悩んでいる方は、
ぜひ、そういう方にも話を聞いていただいた上で、
情報を整理されると良いのではないかと思います。
また、帰国後の転職については、市場の状況や、そもそもの専門、
経験などなどにもよってくるので、
退職や現地採用は、絶対リスクになる、ということでもないと思っています。

次回は、とはいえ、現地採用でも得られたことはありました、
という明るい話題も書けたらと思っています。


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by jakarta_yui | 2016-12-27 01:46 | 仕事 | Comments(0)